こんにちは。
えがおの整骨院・聖一色院の石川です。
今回は『椎間板ヘルニアの真実』についてお話していきます。
接骨院には様々なご症状の方がご来院されます。
その中でも数が多いのは「腰痛」でお悩みの方です。
始めの問診でお話をお伺いすると慢性的な腰痛をお持ちの方からこんなことをよく言われます。
「以前、整形外科でヘルニアと診断された」
「ヘルニアで手術をした」
「ヘルニアだから治らないと思ってる」
これらは実際に患者さんが言ったものです。
ただ、皆さんは椎間板ヘルニアと腰痛はほぼ無関係ということはご存知ですか?
そもそもヘルニアとはどういったものなのか
ヘルニアとは「体内の臓器などが、本来あるべき場所から脱出・突出した状態」を指します。
つまり椎間板ヘルニアとは、背骨の間にある椎間板というクッションの役割をしてくれる組織が突出した状態ということです。
ただ、この椎間板ヘルニアですが全く腰痛が無い約80%の方にもみられる所見なのです。
そのようなことを言うと「でもヘルニアと診断されたのにこの痛みは何なんだ」と思うかもしれません。
腰痛というのは、様々な要因が絡み合って「痛み」が出てくるものです。
なので、仮にヘルニアと診断されていたとしてもそれは「たまたま」ヘルニアの所見がみられるだけで
腰痛とは無関係なことがほとんどです。
椎間板ヘルニアと診断された方は、毎日お辛い腰痛に悩まされているかと思います。
そして「ヘルニアだから・・・」と諦めている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
まずヘルニアの診断基準として下記の項目があります。
①整形外科テストが陽成
②腰と下肢に痛みがある
③症状と画像所見が一致している(筋力低下・痺れ等)
※脊柱管狭窄症ではない
④安静時にも症状がある
この項目全てが当てはまって初めて「椎間板ヘルニア」と言えるのです。
例えば、腰は痛いけど足は痛くない・腰は痛いが痺れは無い・楽な時と辛い時で痛みに波がある等の場合はその腰痛は椎間板ヘルニアとは無関係だと言えます。
ただ中にはヘルニアを除去する手術をして、症状が消失・緩解した方もいらっしゃると思います。
確かに手術後の有効率は70~90%です。しかし、5年後・10年後と長期的な成績を見るとしてもしなくても変わりません。
つまり、手術したから良くなるわけではなく「手術をしたから良くなるはず!」という感情や考えが症状を改善させたということになります。(参考文献:腰痛学校)
そもそも痛みとは何なのでしょうか。国際疼痛学会では痛みをこのように定義しています。
『痛みとは、組織損傷が起こった時あるいは起こりそうなときに付随する不快な感覚及び情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚及び情動体験である。』
つまり実際にどこかが損傷して起こる痛みもあれば、そのようなことが無くても起こる痛みがあるということです。
このようなことから痛みは感情や体験だと言えます。
痛みの原因は、多種多様でこれが原因ですということが言えないのが本当の所です。
では、腰痛の原因として考えられるものは何なのか?
現在、西洋医学的には慢性痛の原因は筋膜のトラブル・心理的ストレス・神経への直接的な損傷・皮膚のトラブル・脳のトラブル(誤作動)などと言われています。
筋膜のトラブルは、身体のアンバランス・身体の歪み・動作の癖によって生じると言われています。
皮膚のトラブルは、肌荒れやアトピーの様な皮膚疾患のことではなく、皮膚も筋肉の様に伸び縮みをして滑走します。その滑走の不具合が痛みに繋がると言われています。
心理的ストレスは、自律神経のバランスが崩れているのでリラックスして交感神経の興奮を抑えたりすることで対処できます。
脳のトラブル(誤作動)は、
腰痛や慢性痛に対する間違った認識や医師など医療従事者や専門家による発言
によって起こされることも多々あります。
神経への直接的な損傷は「神経障害性疼痛」と言われ、これはドクターによる処置が必要になります。
これらが腰痛の原因として考えられるものです。
このようなものが複雑に絡み合って『痛み』の症状として出てくるため、これが原因と言い切れないのです。
特に脳のトラブル(誤作動)によるものですが、あなたの腰痛はヘルニアは無関係だとしても私たち医療従事者が「これはヘルニアです」と診断してしまったがために、「自分はヘルニアなんだ」と思い込んでしまい、痛みが悪化する場合があります。
そのため皆さんには、ヘルニアに対して正しい知識を身につけて痛みを悪化させないようにして欲しいのです。
最後に質問ですが
その腰痛は本当にヘルニアですか?